豊碑の拓片
史語所は二万八千余種、約四万枚にも達する大量の金石拓本を所蔵しておりますが、その大部分は1930年代前半に収集・購入したもので、ごく一部寄贈によるものも含まれています。これら拓本資料の多くは過去の研究書(著録)に未収録の資料及び古い時期に採拓された良拓によって構成されています。この展示コーナーでは採拓した器物の種類によって次のように分類しております。
「青銅器全形拓」:主に伝世青銅器から採拓した拓本に切り貼り・加筆などの加工を施して作成した青銅器の全体図。清代中期以降に流行した。展示資料の多くは良拓で著録に未見、一部は過去の大学者による題記を伴う
「漢代画像」:漢代の画像石・画像磚・墓室の壁画などの拓本。主に山東省・河南省・四川省・江蘇省の資料から採拓。
「仏教造像」:北魏時代の造像碑と石窟造像を中心とした拓本。当時の仏教信仰の特徴が表現されている
「唐宋墓誌」:もと千唐誌齋主人(張鈁)所蔵品を購入した資料が大半を占める。中国独特の墓誌文化の、唐代から宋代にかけての変化・転換の様子を知る上で重要な資料。

 

1. 顔氏家廟碑

Resource Identifier:
01080-1     01080-2
Description:
顔真卿がその父顔惟貞のために立てた家廟の碑の拓本である。碑文にはその先祖及び家族の仕官経歴と後裔の学問や功績などが述べられている。この碑文は顔真卿が72歳の時のもので、顔体の代表作である。碑額の篆書は李陽冰の手蹟で、顔真卿の楷書と並ぶ傑作と賞賛されている。碑石の四面に碑文が刻まれているため別名「四面碑」ともいう。
Date:
[唐]建中元年(780)
Format:
拓本 縦274.0cm×横154.0cm
Coverage:
陝西省西安市出土(原石は現在西安碑林所蔵)

 

2. 虞司寇壺全形拓

Resource Identifier:
186850
Description:
器身は失われているが、器蓋は現在北京の故宮博物院が所蔵している。
Date:
西周後期(前9世紀-前771)
Format:
拓本 縦109.0cm×横56.0c

 

3. 東王公・孔子弟子及び車馬図

Resource Identifier:
12766-2
Description:
上層部中央に位置する東王公は、西王母と共に漢代神仙世界の最高神である。東王公の周囲には九尾の狐・玉兎・三本足の烏などの神獣が配置されることが多い。中層部には孔子の弟子が列をなしており、その中で鶏冠を戴いているのが子路である。孔子やその弟子の図像は、墓の被葬者が儒教の教えに忠実であったことの表れである。下層部の車馬図は、被葬者が見回りに出かける場面や葬儀の行列を表すことが多い。
Date:
後漢(25-220)
Format:
拓本 縦97.0cm×横199.0cm
Coverage:
山東省嘉祥県武氏祠出土(原石は山東省嘉祥県に現存)

 

4. 禅師慧訓慧剛等五百余人造像碑

Resource Identifier:
10958
Description:
原碑は運搬時に二つに割れている。上段の造像龕には順に三尊像、文殊菩薩が維摩居士を見舞う図、供養人像などの図が表現されている。下段には石碑建立に関わった宗教団体の銘文が刻まれ、その下には須達孥太子の故事が線刻で表現されており、布施修行の意を表している。また、石碑の裏側には千仏が刻まれている。
Date:
[東魏]武定元年(543)
Format:
拓本 縦267.0cm×横115.0cm
Coverage:
河南省淇県出土(原石は現在ニューヨークメトロポリタン美術館所蔵)

 

5. 乳母任氏墓誌

Resource Identifier:
09924
Description:
墓誌の文章は蘇軾の自撰・自筆による。被葬者は蘇軾の母が実家から帯同した女中の任氏である。任氏は蘇軾と彼の姉の乳母でもあり、蘇軾の子三人と孫一人の養育にも携わるなど、蘇家の四代に仕えた。宋代における下層階級の女性を研究する上で重要な資料である。
Date:
[北宋]元豊三年(1080)
Format:
拓本 縦89.5cm×横64.0cm
Coverage:
四川省黄崗県出土(本件は明代の復刻本)

 

 

中央研究院 歴史語言研究所 歴史文物陳列館