清乾隆 紫檀多宝格方匣(珍玩30件収納)

長25cm、幅25cm、高21cm

この多宝格は扉を閉めると、これ以上ないほどきちっとした方形の盒になる。このような様式の長所は場所を取らずにすむことで、収納に優れている。外見は簡素であるが、単調には見えない。その理由は、工匠が「開窗(開き窓)」という技法を用いたからで、書画の鑑賞ができる上、窓の中に何があるのかと期待させる。その期待が裏切られることはなく、しきり板を一枚ずつ引き出し、四つの扇形にすると瞬く間に流動感が生まれ、更には中心の円璧が回転し、璧が風車のように回り始めたのかと錯覚してしまう。宝探しの楽しみがこれで終わりだと思ったら大間違い。実は盒の底の須彌座もまた収納空間になっているのである。このような手法は、現代の室内設計で床下を貯蔵に利用する概念と一致する。すばらしい創意工夫に満ちていると思われないだろうか。(文・張麗端)

 

提供:国立故宮博物院