西漢(前漢) 片手杯 |
高12.3cm 口径4.7cm 足部分経3.1cm 重量115g この秀麗な玉杯は、潤いのある艶やかな半透明の青白い玉を彫刻して作ったものである。やや細長い円錐形で、長い足と耳が一つある。口縁から足の部分にかけて横に五段の帯状の紋様が表面に施され、各種の雲紋、四つ葉紋が浅く浮き彫りされている。口縁と耳の外側、高足から器腹の下にかけて酸化した金属に触れて青緑色に染まっている。中でも口縁部の色が最も青みが強いが、アズライト(藍銅鉱)から抽出された銅を鋳造して製作した銅器に接触していたためかもしれない。古代の人々は、美しい玉はより多くの「精気」を含んでいると信じ、物質が及ぼす感応的な作用を強く信じていた。漢代の貴族は特に玉製の容器を重視し、器に入れた水や酒にしみ込んだ玉の「精気」が人に影響して、仙人の如く優れた人物になれることを願った。「史記」の漢武帝本紀によれば、元鼎2年(紀元前115年)、漢武帝は銅盤と玉杯で露を集め、それを細かに砕かれた玉と混ぜて飲んだという。近年、広州の南越王墓で銅盤と玉杯一組が出土した。「史記」に記載のある、夜間に露を集めた容器に違いない。南越王墓から出土した玉杯と比べて見ると、故宮博物院所蔵の玉杯には、南越王墓から出土した玉杯の図録にアルファベットの「a」に似た耳が一つ付けられている。この種の片手杯は漢代の玉卮によく見られるものである。(文・鄧淑蘋)
提供:国立故宮博物院
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