戦国 狩猟紋壺

高36.6cm、最大径27cm

全体が浮き彫りの図像紋で装飾されており、首は蛇を銜えた鳥、肩には翼のある神人、腹部は塊状の人獣、下腹は勾聯雲雷紋となっている。壺の形は戦国時代初期以来流行の鼓腹壺、単純な造型で、両肩に獣首の環がついているのみである。図画的なものを装飾としたのは、春秋時代晩期における銅器の大きな発展であった。中国の商周銅器のほとんどが獣面、鳥紋などで飾られており、春秋時代晩期(紀元前五世紀初頭)に至ると、まず、中国北方の銅器に狩猟紋が出現し、続いて中原地域の銅器にも燕楽、戦争など、物語性のある図画装飾が現れ、中国製銅器に特徴的な装飾の風格を形成した。この種の図像紋は狩猟紋が最も早く出現し、中国北方で出土していることから、図画式の装飾が表すものは遊牧民族に関係があると思われ、岩画の風格に近い部分がある。しかし、この種の図像紋銅器の分布には地域性があり、考古資料は河南、山西、河北、陜西などの地で比較的多く作られたことを示しており、南方の楚や東方の齊、魯ではほとんど見られない。(文・許雅恵)

 

提供:国立故宮博物院