清 郎世寧 百駿図

巻 絹本著色 縦94.5cm 横776.2cm

Giuseppe Castiglione (1688‐1766)、中国名は郎世寧、イタリア、ミラノの人。耶穌会伝教師、27歳で来中し伝教活動を行う。後に画技をもって朝廷に奉職し、康煕、雍正、乾隆三朝に仕えた。人物、花卉、鳥獣画を得意とし、動物の中では馬の画が最も多く、また最も優れている。

それぞれ姿態が異なる駿馬100頭が、草原で放牧されている場面が描かれている。馬たちは、立ち上がったり、じゃれあったり、草を食んだりと、自由にのびのびと動き回り、一箇所に留まってはいない。表現上の具体的な手法としては、西洋画にしばしば用いられる、前重後軽、前実後虚、前大後小などの方法で風景を描き、画面上に遠方まで広がる奥行きの深さが生み出され、草木、山水、人物のいずれも精緻な写実で描かれている。全体に濃厚で華やかな色彩が施され、複雑な構図、形象も真に迫っている。郎世寧は、中国の伝統的な画技に、西洋の透視法と西洋画の顔料を取り入れるのを得意とし、中西双方の趣が交錯し融合した画面を生み出した。例えば、画中の馬や人物、樹木、斜面には光の原理が応用され、物象にくっきりとした立体感がある。また、松の葉や樹皮、草の葉などは墨線で輪郭を取り、石や斜面の「皴擦」などは、中国の伝統的な画技が含まれており、馬や木の幹に見られる陰影もまた中国の伝統的な渲染法によって描き上げられている。本作は雍正6年(1728)に製作された、郎氏早期の典型的な代表作の一つである。(文・陳階晋)

 

提供:国立故宮博物院