明 文徴明 古木寒泉

軸 絹本著色 縦194.1cm 横59.3cm

文徴明(1470-1559)、江蘇長洲の人、名は壁、字は徴明、後に字を行とし、また字を徴仲に変更、号は停雲生、衡山。沈周に師事、書画ともに優れ、明四大家の一人。長寿であった上、画芸、言行ともに人々の尊敬を集め、その影響を受けた者は多く名を成している。息子の文彭、文嘉、甥の文伯仁、弟子の陳淳、陸治、錢穀など、いずれも呉派の中堅人物である。

松と柏の木が寄り添うようにして立っている。柏の老木の樹皮は剥がれ、枝が四方に張り出している。後方の松の幹はまっすぐと雲に向かって伸びている。背景の石壁と松、柏の木が密接に結び付いて寒々とした光景が広がり、ほとんど余白がない。最も高い箇所から滝が幾度か曲がって下に流れ落ち、緊張感のある複雑な画面の中に、突如明るい空間が開かれている。

嘉靖己酉(1549)冬、文氏が80歳という高齢で描いた作品だが、全体に力が漲り、自在な筆墨で深く険しい山の風景を描いた、文徴明の粗筆画作品中の傑作である。(文・許郭璜)

 

提供:国立故宮博物院