人と自然環境の調和と交流:季節の祭典

季節の祭典とは、人々が如何に四季に合わせて物事を行うかを表す、人と自然環境との調和の現われです。原住民の伝統的な暮らしは農業や漁猟に支えられており、それらが順調に行えるかどうかは神や祖先の加護によるものだと信じられてきたことで、季節の祭典が生み出されました。つまり、様々な祭典が現すものは、各族の信仰や、社会組織、伝統生活、禁忌など、文化の内面そのものなのです。

 

 

 アワ(粟)はかつて台湾原住民の主要な農作物で、伝統的にも神聖な象徴物だとされ、原住民に大事に守られてきました。そのため、種まきから収穫まで、除草祭、収穫祭、倉入れなど、いくつもの儀式が行われてきました。さらに農耕の祭り以外にも、それぞれの民族で異なる自然環境に合わせた祭典が行われています。たとえば、山地に住む民族にとって、狩りは極めて重要な営みで、ブヌン族の「打耳祭」(優れた狩人になるために鹿の耳を矢で射る訓練をする祭り)、そしてプユマ族の「大狩猟祭」がその一例です。また、海辺に住むアミ族の「河祭り」と「海祭り」、タオ族の「トビウオ祭り」など、どれも、その民族の伝統的な暮らしと繋がっています。一方、原住民の祖霊信仰や歴史・神話に関する祭典ではパイワン族の「五年祭」、タイヤル族の「祖霊祭」、サイシャット族の「矮霊祭」などがあります。


 中国西南部の自然環境は台湾と非常によく似ており、その地の少数民族も農耕や漁猟で暮らしていることから、やはり同様に農耕や漁猟と関連した祭典を行っています。けれども、こちらは台湾原住民と比べて漢人文化の影響を受けた時間が二、三千年と長く、漢民族文化や仏教の影響が顕著です。例を挙げるとタイ族の「浴仏節」(潅仏会)やミャオ族の「還儺願」(神に感謝するための儀式)などがあります。

 

時代が移り変わるにつれて原住民や少数民族の伝統的な生活様式にも変化が現れ、季節の祭典は今や地方政府の管轄となり、観光化しつつあります。しかし原住民たちは祭典を通して伝統文化を再現し、祭典を行って民族の主体性のシンボルとすることで、祭典を民族の文化的アイデンティティとしているのです。外から訪れた人が原住民の祭りに参加した時、祭典のにぎやかな歌や踊りや儀式以上に感動するのは、伝統と現代のはざまで葛藤する原住民の人々が、祭典によって表現する伝統文化に対する憧れなのではないでしょうか。

 

人と自然環境調和:季節の祭典に関する展示品

 

ミャンマー風寺院の浴仏亭

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国西南部のタイ族)

記述:

カテゴリー:公共建築

資料識別:登録番号00000008
 

 

浴仏節前夜の水取り

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:儀式や祭典-年間行事

資料識別:登録番号00000072 

 

浴仏

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:公共建築

資料識別:登録番号00000073

 

 

浴仏のあずまや

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:公共建築

資料識別:登録番号
 

浴仏後、集落の外に植えられた花木

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:品物と物質文化-象徴物

資料識別:登録番号00000076 
 

 

緬寺(ミャンマー風寺院)にてコマで遊ぶ小学生

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:人-人物

お寺の「小学生」とは坊主或いは沙弥のことをいう。「緬寺」は漢民族が使う言葉で即ち仏寺のことである。中国雲南省の南端にある孟定のタイ族はコマで遊ぶことを「馬扛」とう。まず、一人が鞭状のひもでコマを巻き、強く引っ張りコマを地面で回転させる。そしてもう一人も同様の動作をし、ひもを強く引っ張りながら、すでに地面で回っているコマに向けてぶつけるが、回っているコマをひもで敲くことはしない。孟定のタイ族は更に細かく「德(水)」と「勒(旱)」の二族に分かれており、コマ回しの時期はそれぞれ違う。德には決まった時期がないのに対して、勒はふだんは行わないが、漢民族の春節(旧正月)の時には必ずコマ回しを行う。なお、勒には春節を祝う習慣があるのに対し、德にはその習慣はない。タイ族ではその時期を中国語で「筋棱系」と称している(直訳すると「四月を食べる」の意。漢民族の旧正月は勒暦の四月、德暦の三月である)。「筋棱系」の時に勒の人々は、旧年に一日、新年に一日、つまり大晦日と元日の二日間、コマ回しをしなければならないとしている。勒の人はコマ回しが、地元に平安をもたらすと考えており、これはある種の宗教的な遊戯であると考えられる。彼らはまた集落同士でコマを回し合うが、ホスト側の集落は訪問してきた他の集落の者を、もち米で作ったデザートでもてなす習慣がある。この二つのタイ族の共通点は、コマを回すのは必ず男性であるということだけである。なお、この写真には撮影を行った集落の名称が記されていないが、名称がわかればどちらのタイ族かはすぐに判別できる。ただ、撮影されたのは新暦の11月なので漢民族の春節ではないため、撮影されたのは德の人々であることがわかる。(趙效牛氏撮影)

資料識別:登録番号00000089
 

ブランコで遊ぶ少女

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:儀式や祭典-年間行事

資料識別:登録番号00000111 

コマで遊ぶ男の子

テーマとキーワード:元の記録による民族:擺夷(中国南西部のタイ族)

記述:

カテゴリー:儀式や祭典-年間行事

資料識別:登録番号00000112