古今の絵画における女性像

古今東西、人物はつねに絵画のテーマとして取り上げられていますが、東洋と西洋とでは大きな違いがあります。東洋の人物画は大抵ある出来事や場面を現しており、作品の中からは人物以外にも多くの情報を得ることができます。明代の画家・唐寅の傑作「韓熙載夜宴圖」がその一例です。一方、西洋の人物画は人物そのものの描写に重きを置き、肌の色から筋肉の表現など細部まで精細に描き出しています。それでは、東洋と西洋の人物画の微妙な相違について詳しく見ていきしょう。

古今の女性像コレクション


 

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直立する裸女
テーマとキーワード:裸女・新聞立て
解説:立ち姿の裸女が描かれていて、その背後には新聞立てがある。
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日本の少女像の習作
テーマとキーワード:人物画・少女
解説:日本留学時代の習作。オイルや色の使い方はまだ手慣れておらず、未熟さを感じさせる。少女の顔は石膏デッサンの影響を受け、顔の部分などは特にごつごつとした感じになっている。また、筋肉の構造がしっかり把握されておらず、口角上部と頬のつながりや首もとの光を受けている部分などから、李氏が油彩を学んでいる段階にあって、まだ道具を使いこなせておらず、デッサンの力を十分に発揮できていないことがわかる。一方、背景の赤と衣服の緑が強いコントラストを成しており、李氏が強烈な色彩を好むことを現している。また鮮やかな色が褪せた感じをよくつかんでいて、色同士が主張し合うこともなく、李氏がこの面における能力の持ち主であることも示している。

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座る少女像(ソファ)
テーマとキーワード:人物画・少女・椅子
解説:少女が椅子に座っている。赤いアームと緑の背もたれが、少女の主役としての地位を際立たせている。

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少女
テーマとキーワード:人物画・少女
解説:新たに用いたチャイナドレスが本作を描く動機を誘発したが、色使いこそが本作のポイントである。椅子の青と壁の薄青紫、そして背後の壁の額縁に使われている灰青色までもがチャイナドレスの朱赤を際立たせている。一方、この朱赤はひじ掛けのなつめ色や床とドアのこげ茶色に呼応し、人物は色彩を表現するための道具となっていて、その情感や個性は非常に的を得たものとなっている。少女の描き方もよく、特に手の部分がもっともよい。隠されたひじ掛けのラインと壁に掛けられた額縁なども丁寧に描かれている。
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母親像
テーマとキーワード:人物画・李氏の母親
解説:作者の母親の肖像画。李夫人は黒い服を着て、厳かな表情をしている。

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義母像
テーマとキーワード:人物画・李氏の義母
解説:李氏は父親と義母(妻の母親)の肖像画を描いている。二作はいずれも写実的な画風で、とられているポーズもほぼ同じで、ともに左に向いている。手を重ねている様子も同じで、上下にくる手が違うといったわずかな違いがあるだけである。手の描き方が最もよく、顔の部分は、義母像の方が(父親像と比較すると)より自然である。写実的な作風とはいえ、李氏は色彩の豊かな変化を表そうと、本作「義母像」では髪を覆った赤いスカーフと紺の棉入れでコントラストを現しており、「父親像」では赤い椅子と紺色の長衣でコントラストをつけているが、これは色彩を豊かにさせるだけでなく、それぞれの衣服の質感をもはっきりと感じさようとするものである。背景の色使いにも微妙な変化があるが、「義母像」の方が色分けがはっきりとしている。

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母親像
テーマとキーワード:人物画・李氏の母親
解説:作者の母親の肖像画である。寝いすに座り、厳かな表情をしている。

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スカーフをかぶった少女
テーマとキーワード:人物画・少女
解説:基本的には写実的な作風であるが、1949年からキュビスムの影響を受け、厚みを感じる作風となっており、とりわけ衣装の襞の表し方にそれが出ている。また、少女の顔には光があまり当たっておらず、わずかに額と頬、鼻の先、そして口元のみが光を受けているが、陰となっているところに当たる光の反射がじつにうまく描かれており、自然な質感を現している。スカーフの部分は顔の丁寧さとはまったく異なり、ラフなタッチで描かれている。スカーフの模様は軽やかなタッチで自然に描かれており、陰影部分の色使いもよい。また、少女の右肩部分の色は頭部の色合いに合わせられている。本作から李氏の画風が初期の頃の写実的な画風から変化していく転換期にあることが見て取れる。

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座像(周秀月)
テーマとキーワード:座像・人物画・女性
解説:軽快なタッチで描かれた藤いすに座る少女。軽やかな色使いは李氏のほかの人物画とは大きく異なっており、少女の衣服には高明度、低彩度の色を用い、その軽快なタッチに合わせている。腕のカーブも明るく落ち着いた感じを与える。少女の顔には李氏の好む逆光効果が用いられているが、ここではまず水色が塗られ、そこに目鼻を描き出しており、色使いは大胆で、かつ非常に効果的である。顔の青がブラウスの陰影の青と壁の青に呼応し、衣装のピンク色とよいコントラストを成している。

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青い服を着た少女
テーマとキーワード:人物画・少女
解説:部屋の中に青い服を着た少女がいる。背景となっている緑色のタイル壁と赤いテーブルクロスが強いコントラストをつくり、色使いが鮮やかである。

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